スタッフのひとりごと

定住財団スタッフの日々のつぶやきをお届けします。

Diary

2020-02-03 暗闇にある一つの灯

先日、久しぶりに停電を味わった。
停電の直前18:30頃、私は実家で親父と大変な口論を繰り広げていた。話題が家の将来について、そして意見が合わない。二人とも一歩も引かず、ヒートアップ。
最後にはひどい泥仕合。このままではらちが明かず、憤りながらも私は別室に移動。母親が父と何か話をした後、私のいる部屋にやってきたときだった。
「ぱちん」という音と共に、真っ暗。
  
最初、ブレーカーが落ちたと思ってスマホのライトアプリを使ってブレーカー見に行くも、違う。
まさかと思い外を見ると、周囲の家どころか付近一帯全部真っ暗。信号も点いていない。電力会社のHPを見ると、このエリアが停電と分かった。
家は少し昔の電化住宅。蓄電池もなく燃料で動くストーブもないので、じわじわと寒くなってきた。
「おーい、親父大丈夫かー?」
  
心配になり、父のいる居間に行ってみると、父は「おう」と一言。
さっきまで大喧嘩していたのに、二人とも冷静になっていた。
暗い中布団を持ち寄り、同じ部屋にみんな集まっていると、実家暮らしの弟もやってきた。
「ローソク立ててみようか」、仏壇から長いローソクを持って来て部屋の真ん中に立てた。ローソクは明るく、みんなの顔がちらちらと揺れた。
「この家に建て替える前の古い家のときは、停電が起こったときこうやって凌いだものだったなぁ」
皆、在りし日の祖父・祖母も一緒に暗闇の中の灯を見ていた、いつかの停電の夜のことを思い出し、あの頃の話に花を咲かせた。
  
そうしていると、方法は違うけれど、父は家族のことを思ってのことなんだと、なぜかストンと胸に落ちた。父も私に対してそうだったようだ。
そうしていると、2時間後復旧し電気が点いた。不思議と名残惜しかった。
これからも、大切な話のとき議論はぶつかると思うが、暗闇の中同じ灯を見つめ、同じことを思う者同士なら、信じて進むことができると、そう思った。
非現実は、時に人生に於いて重要なアクセントになるものだ。

(つかさ)

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