スタッフのひとりごと

定住財団スタッフの日々のつぶやきをお届けします。

Diary

2021-06-29 高校生・保護者の皆さんへ

少し前のことですが、ある高校の生徒さんに進路についてお話をする機会がありました。対象は、高校1年生。皆さんに希望する進路を聞くと、専攻は定まっていない人がほとんどでしたが、進学や就職を希望する先は、ほぼ全員が県外、都会でした。その理由は、都会への憧れや島根にはよい就職先がない、というものでした。
  
私も都会に憧れて東京に進学し、いわゆる大企業に就職した身なので、その気持ちはよくわかります。また、島根県の最低賃金や一人あたりの県民所得額は常に低いので、島根の経済的水準は低いと思っていました。
  
しかし、最近、国の統計調査を目にして、それは単に私が思い込んでいたイメージであって事実は違っていたかもしれない、と思うことがあったので紹介します。
  
給与から税金や社会保険料等を引いた額、いわゆる手取り額を「可処分所得」といいますが、
国の統計調査(2人以上の勤労者世帯)では、島根県は約41万円で、なんと全国13位となっています!
  
さらに、各都道府県の上位40%から60%の世帯(中央世帯)に絞り込んだ可処分所得になると、約37万5千円で26位にまで落ちますが、広島県(約37万7千円・25位)とほとんど変わりません。また、兵庫県(約37万4千円・28位)や大阪府(約35万2千円・37位)よりも上位にいます。
  
一方で、生活する上で最低限必要なお金(「基礎支出」・食料費+家賃+持ち家の帰属家賃+光熱水道費)を見ると、東京都(約19万9千円)を筆頭に神奈川県(18万2千円)、埼玉県(17万5千円)、千葉県(17万4千円)、京都府(16万9千円)、大阪府と兵庫県(ともに16万2千円)と続き、首都圏や関西が上位を独占しています。
  
そして、中央世帯の可処分所得から基礎支出を差し引いた額では、島根県が約22万5千円で22位なのに対し、埼玉県は22万4千円で23位、広島県は21万9千円で30位、千葉県が21万千円で34位、東京都が19万3千円で42位、大阪府は19万千円で44位となっているのです。
  
さらに、そこから各県の通勤経費(例:東京都5万8千円・1位、神奈川県5万6千円・2位、島根県1万7千円・41位)を差し引くと、埼玉県が17万9千円で38位、神奈川県が16万5千円で43位、千葉県が16万2千円で44位、大阪府は15万円で45位、そして東京都は13万5千円で最下位なのです。
  
これに対し、島根県は20万8千円で17位に順位を上げています。
  
その他に、生活時間については見ると、島根県は労働時間の短さが全国5位、通勤時間の短さは全国2位、睡眠時間の長さは全国5位、ゆう活時間の長さは全国2位となっています。
  
仕事や通勤にかける時間は極めて短いにも関わらず、それなりの所得を得て、余暇や睡眠の時間を十分に確保しながら生活ができている、とも見えるこの数字と、「島根には仕事がないから、都会へ」というイメージがとあまりにかけ離れており、正直驚きました。
  
別の調査では、地方出身者で東京に就職した若者のうち、約半数が「生活コストの高さ」や「都会での暮らしに疲れた」との理由で、東京から出たいと考えているという結果が出ていますが、それも腑に落ちた気がしました。
  
調査の数値が全てを正しく物語っているとは限りませんし、都会を志すことがいけないとも思いません。が、漠然としたイメージだけで進路を決めて、後々かえって大変な思いをすることがないように願っています。
  

(創)

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