定住財団スタッフの日々のつぶやきをお届けします。
鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて活躍した吉田兼好が著した名高い随筆「徒然草」のなかの第六十二段にこういうエッセイが記載されています。
【原文】『延政門院 いときなくおはしましける時 院へ参る人に 御言つてとて申させ給ひける御歌 「ふたつ文字 牛の角(つの)文字 直(すぐ)な文字 歪み文字とぞ 君は覚ゆる」 恋しく思い参らせ給ふとなり』
一読すると「何のこっちゃ…」と思ってしまいますが、これを訳してみます…
【現代語訳】『延政門院(出家した後嵯峨天皇の皇女 悦子内親王)が、幼少の折に、院(御所)へ参内する人に言伝を頼んでお詠みになった歌 「ふたつ文字 牛の角(つの)文字 直(すぐ)な文字 歪み文字とぞ 君は覚ゆる」 後嵯峨天皇のことを恋しく思っていらっしゃる気持ちが詠まれている』
という内容になります。悦子内親王が詠まれた歌は「言葉遊びのパズル」になっていることにお気付きでしょうか!
ここにある「ふたつ文字」とはひらがなの「こ」、「牛の角文字」は「い」、「直な文字」は「し」、「歪み文字」は「く」を表しているのです。これを続けて読むと「こいしく(恋しく)」となる訳なのです。
ですから、「あなたのことを恋しく思っております」となるのです。
この表現が発達して、江戸時代になるとこんな狂歌が生まれてきます。
「ふたつ文字 牛の角文字 ふたつ文字 歪み文字にて 飲むべかりけり」⇒こいこく(鯉濃)を肴にして酒を飲もう!…ということのようで、粋な言葉遊びだとは思いませんか。
では、ここで当時のお江戸クイズを一つ…
「昔からいろいろな願い事をきいてくださる神様がおいででございやすが、さて「亀」が神様になるって~と「男神」になるのか「女神」になるのかお分かりか~い!」
秋の夜長、頭を捻ってみてください♪!…
(Friday)